RSS | ATOM | SEARCH
至上の愛(デラックス・エディション)
至上の愛(デラックス・エディション)
至上の愛(デラックス・エディション)

至上の愛には、現在発売されている物の他に、アーチー・シェップ(sax)とアート・デイビス(b)が参加しているバージョンもあって、その謎に包まれたセッションの様子はマスターテープが紛失している為、もう聞く事は出来ないのだと思っていたんだけど

恥ずかしながら私がこの"至上の愛(デラックス・エディション)"の存在知ったのが最近の事で、その中には通常の"至上の愛"全曲の他に、1965年7月26日フランス、アンティーブ・ジャズフェスティバルにおける"至上の愛"のライブバージョンと1964年12月9日のカルテットによる"決意"の別テイク2曲と翌日12月10日録音の問題の"承認"別テイク2曲が収録されているという事で早速入手する。

解説を読むとマスターテープは紛失したままだが、当事そのコピーを偶々コルトレーンに渡していて、それを家族が大事に保管していた為今回発売に至った事や、12月9日録音のマスタ−テープも紛失していたが今回の企画に為に改めて世界中のスタジオにコンタクトした結果、奇跡的に見つかった為、ここに収録されているオリジナルの"至上の愛"はマスターテープから落としており音質は良好との事。

早速未発表テイクを聞いてみる。司会のコールから一曲目の"承認"に入るが、やはりチャイナシンバルが無いとしまらない(笑)しかもベースのリフをコルトレーンが吹いてスタート、やはりスタジオ盤とは印象が違うが後の3曲は中々良い。

そして問題の12月10日録音のテイクは"承認"が2曲のみで、その外の曲は演奏されていないとの事。やはりアーチー・シェップ(sax)が入る事でかなりアバン・ギャルドの要素が強くなる。聞きなれれば結構面白いのだが、初めて聞いた時は、それなりにこの曲を聞き込んでいたつもりでもかなり違和感を覚えた。

やはり"承認"はオリジナルテイクで正解ですね。もしこちらの別テイクが採用されていたらこのアルバムはもっと難解になっていたでしょう。

モダンジャズを代表する"Kind of blue"と"至上の愛"は対象的な作品である。前者はの一発勝負のインプロビゼーションを追求しジャズの最先端へと外に向けられた作品であり、後者はバンドのメンバーを固定し、自己の内面を追求する内に向けられた作品である。

しかし両作品ともモードの完成という事では共通しているので、やはりモダン・ジャズの歴史というのはビ・バップから始まり、それに変わるモードを完成させる事なのかと思ったりもしております。
author:右山裕介, category:John Coltrane, 20:23
-, -, pookmark
至上の愛
至上の愛
至上の愛

1964年発表のジョン・コルトレーンの最高傑作とされ、kind of blueと並び、モダンジャズ史上もっとも重要かつ難解とされるアルバムである。

レコーディング前のコルトレーンは、彼の内面から聞こえる音楽を練り上げる為に自室に閉じこもり、なんとその期間は4.5日にも及び、ようやく部屋から出てきた時には、まるでモーゼが山から下りて来たようだったと妻でピアニストのアリス・コルトレーンは、後述している。

またコルトレーン自身も、この作品が今迄のとは一線を画すかように「これ程準備が整ったのは初めて」と語っていた。

このアルバムは、承認、決意、追及、賛美の四つのパートからなる組曲であり、ジャズ史上初のコンセプトアルバムである。(世界初のコンセプトアルバムとされるビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は1966年発表。)

"至上の愛"とは神への感謝であり、ライナーノーツには、"ディア・リスナー"としてコルトレーン自身のアルバム解説と"A love supereme "という神への感謝の詩が書かれている。ちなみにコルトレーンは、曲想を練って居る時とレコーディング中の2回、神の姿を見たらしい(笑)

メンバーはもちろん、エルビン・ジョーンズ、マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソンによる黄金のカルテットであり、その集大成の如く神がかり的な演奏によりレコーディングは1964年12月9日一晩で終了する。

しかし翌日、再度アーチー・シェップ(sax)とアート・デイビス(B)を加えて再度レコーディングした為、(こちらはボツ)いったいどちらが本当の"至上の愛"だったのかとファンの間で物議をかもし出す事になるがマスターテープ紛失の為、詳細は判らずじまいという事である。

以前にも書いたけど、始めて聞いたモダンジャズのアルバムがこれで本当にひどい目にあって(笑)それ以降は好きでも嫌いでもなく、コルトレーンの一つの作品として聞いていたんだけど、
2・3年ぐらい前かな?一曲目の"承認"を聞いていた時に「アラビアンナイト」の"空飛ぶ絨毯"に乗って空を飛んでいるようなイメージが湧いてきて、"承認"って実は綺麗で美しい曲なんだと判り長年の疑問がちょっと解けた気がして、このアルバムが好きになってしまいました。しかし大のオトナが何年も、しかも何百回も聞かないと判らない音楽を作るっていうのも凄いよね・・・最後にコルトレーンの有難いお言葉を

「音楽は理解し易いものであってはならない」 
author:右山裕介, category:John Coltrane, 20:22
-, -, pookmark
Crescent
Crescent
Crescent

インパルス専属になって初の全曲オリジナルのアルバム。
しかしいつものアグレッシブなプレイは鳴りを潜め、それまでの作品とは一線を画した内容となる。

すでに、瞑想や精神世界に強く影響を受けていたのか、この頃からよく詩を書き、その詩を基に作曲を行なっていたようで、

その方法とは、言葉の韻律からメロディーのアイディアを見つけ出す事でLive at Birdlandに収められている"アラバマ"は、マーティン・ルーサー・キング牧師のスピーチのリズムパターンから作曲されたものらしい。

なので、このアルバムに収められている曲のほとんどがコルトレーンの作った詩の韻律から作られており「"Wise one"Lonnie's lament"The drum thing"なんかは詩も同然」とのちにコルトレーン自身が語っている。

コルトレーンの作品の中で一番情緒的と評されるように、いつもの音と格闘するかのような外面的な激しさの代わりにメランコリックなコルトレーンの内面が良く表現されている。

またエルヴィン・ジョーンズ、マッコイ・タイナー・ジミー・ギャリソンの"黄金のカルテット"は活動3年目に入り、コルトレーンの意図を十分理解し、まるで一体化したような演奏で「カルテットの完成された姿」と評された。

3曲目の"Bessie's blues"唯一スイングな4ビートナンバー。Kind of Blueの"Freddie freeloader"などモード中心のアルバムに、一曲ブルースが入ると全体にメリハリ出る気がするんだけど、そういう意図なのかは不明。

実はこのアルバムは次作、あの至上の愛のモチーフとなった作品と言われており良く聞くと共通点も多い。
author:右山裕介, category:John Coltrane, 20:07
-, -, pookmark
Live at Birdland
Live at Birdland
Live at Birdland

1963年10月8日と11月18日のニューヨーク"バードランド"で収録された、最強のメンバー(マッコイ・タイナー、ジミーギャリソン、エルヴィン・ジョーンズ)よる絶頂期の演奏を収めたライブ盤である。

この辺りからコルトレーンの名声はジャズ界を超えて世間一般に知れ渡るようになり、多ジャンルのクリエイターやアーティストにも影響を与えて行ったようである。

日本公演でも演奏したオリエンタルなモードナンバー"Afro-blue"は今回が初収録。

2曲目の"I want talk about you"は、5年前に発売されたソウルトレーンにも収録されているが、その違いを聞き比べて見ると面白い。

これも有名な話だが、"I want talk about you"のカデンツァ(エンディングに向かうソロの部分)を聞いて感激したロンドン王立音楽院の教授が教材に使う為に採譜し生徒に演奏させていたらしい。

ライヴの約2ヶ月前の1963年9月15日にアラバマ州バーミンガムの黒人教会が爆破され4人の少女が死亡した事件が起こるが

コルトレーンはこの事件を悲観し、人種差別と暴力のない平和な社会を求め"Alabama"を演奏、また犠牲になった4人の少女に対し"Your lady"(スタジオ録音)を捧げた。

その後もコルトレーンは愛と平和を訴え続け、精神世界にのめり込みその影響が作品にも現れていくのである。
author:右山裕介, category:John Coltrane, 20:02
-, -, pookmark
SELFLESSNESS
セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス
SELFLESSNESS featuring MY FAVORITE THINGS

1963年のニューポート・ジャズ・フェスティバルの演奏と1965年の晩年行動を共にするフアラオ・サンダース(SAX)が参加したライブを収録したアルバム。

一曲目の"MY FAVORITE THINGS"は今迄10数回以上レコーディングしてきた同曲のベスト・テイクと言われている。

参加メンバーはマッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソンにいつもならエルビン・ジョーンズなのだが

エルビンが麻薬不法所持で逮捕され1963年の5月から3ヵ月間リハビリ施設に強制入院させられた為、今回は代役ロイ・へインズである。

このロイ・へインズという人は長期に渡って色々な所で活躍してる人で、ジャズに限らずフュージョンもこなし、共演ミュージシャンは

1940年代からレスター・ヤングに始まって、チャーリー・パーカー、マイルス・デイビス、セロニアス・モンク、エリック・ドルフィー、スタン・ゲッツにチック・コリア、パット・メセニー迄こなしており、80歳を超えた現在でも活躍中という凄い人である。

エルビンの様な力強さは無いが、歯切れの良いタイトなプレイでバンドとの相性も良く、ドラムが控えめだと演奏も上品に聞こえて良いですね(笑)でも反面なんか足りない気も・・・

無事代役をこなすどころか名演となったのだが、当時へインズはスタン・ゲッツのバンドに居た為、それ以上の発展は無かったという事。

まあコルトレーンはエルビン方がお気に入りなんでしょうね。
author:右山裕介, category:John Coltrane, 19:57
-, -, pookmark
John coltrane & Johnny hartman
ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン
ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン

以前からボーカリストのと共演を望んでいたコルトレーンが選んだ相手は、エロル・ガーナやディジー・ガレスビー等と共演するが、今一つ伸び悩んでいたジョニー・ハートマン

早速、プロデューサー、ボブ・シールの了承を得てアルバム制作に取り掛かる。自らをバラード・シンガーと称していたハートマンの個性を生かすべく、前年に発表したバラードのボーカル版の様な物を作ろうと考え、印象的でリリカルな曲が3人によって選びだされた。

レコーディングも順調に行なわれ、My one and only love ではハートマンがコルトレーンの前奏に聞きほれてしまい歌いだしを忘れるというご愛嬌もあったが、ほぼファースト・テイクで終了。

仕上がりも単なる歌伴に収まらず、まるでもう一人のヴォーカリストの様にフレーズを歌い上げるコルトレーンとハートマンの甘く透きとおったバリトンは相性も良く、二人の共演は全ての面で融合しながらも、それぞれの個性を出し切った内容となり、見事な傑作を生み出したのである。

まあこれも言わずと知れた名盤。カウンターバーでウイスキーを飲みながら聞きたいアルバムNO.1ですね・・
author:右山裕介, category:John Coltrane, 12:54
-, -, pookmark
Duke Ellington & John Coltrane
Duke Ellington & John Coltrane
Duke Ellington & John Coltrane
Duke Ellington w,John Coltrane

あのデューク・エリントンとジョン・コルトレーンの共演盤である。

前作のバラードと同じくプロデューサーボブ・シールの発案で制作されたもの。

完全主義者で何度もリテイク繰り返すコルトレーンのレコーディングは時間が掛かる為、採算が取れなかったそうで

天才音楽家であり現実主義者の"デューク・エリントン"と共演させれば、音楽的な融合発展はもちろんの事、コルトレーンの迷いを解決しレコーディングもスムースに行なわれるだろうと考えたらしい。

選曲は、デュークの往年のレパートリーが中心で、コルトレーンは敬意を表しそれらの曲を忠実に演奏、これがまたすばらしい!!

長年デュークのバンドに在籍していたジョニー・ホッジスも、コルトレーンを絶賛し、レコーディングもデュークの意向により全曲ワン・テイクで終了とまさしくプロデューサーの読み通りとなる。

個人的には"デューク・エリントン"と言えば"A列車で行こう"を始め数々の名曲を生み出した楽団のリーダーというイメージが強く、この作品で初めてピアノ演奏を聞いたんだけど、むちゃくちゃ良いですね一曲目の"In A Sentimental Mood"のイントロは鳥肌ものです。
author:右山裕介, category:John Coltrane, 12:46
-, -, pookmark
バラード
バラード(デラックス・エディション)
バラード(デラックス・エディション)
ジョン・コルトレーン

1962年の作品。収録曲のほとんどがナット・キングコール、フランク・シナトラのレパートリーで、幼少期のコルトレーンの思い出を綴った作品とも言われているが、

実はジャズ界のビックネームとなったコルトレーンが、新たなファン層の獲得を模索した、いわゆる"企画物 "で選曲もコルトレーン自身では無くプロデューサー、ボブ・シールが行なったものらしい。

企画物、売線狙いと聞くとちょっとがっかりしたりするが、これはちょっと違うかな

この時期にしては珍しくストレートなプレイ。モードもコルトレーン・チェンジも封印し、気持ちだけでメロディーを表現していて、それがビシビシ伝わってくる。これが本来のコルトレーンかなって感じで何度聞いても素晴らしい!

もちろん名盤である事は言うまでも無いが、本来の目的通り新たなファンの開拓も果たしたようである。
author:右山裕介, category:John Coltrane, 05:49
-, -, pookmark
Coltrane
コルトレーン
コルトレーン
ジョン・コルトレーン

本作よりベーシストがレジー・ワークマンからジミーギャリソンに代わり、その後、最後までコルトレーングループのべースを努める事になる。

ジミーギャリソンはビル・エヴァンス、ケニー・ドーハム、レニー・トリスターノ、オーネット・コールマンらのサイドを務めていたが、その名を知らしめたのは、コルトレーンとの競演でありコルトレーンが最も信頼したベーシストの一人だったようである。

決して派手なプレイをする訳では無いが、リズムやラインの音の選び方などで独自な雰囲気を出し、コルトレーンのサウンドにも良く合っていると思うが、本当の個性が出てくるのはこれ以降の作品だと思う。

この作品のもう一つの聞き所は、エリック・ドルフィーが辞めてカルテットになった事である。もちろんエリック・ドルフィーも良いのだが、やはりコルトレーンのワン・フォーンが一番良い。一人でバリバリ吹きまくるコルトレーンが最高!

この頃は精神も肉体も充実していた時期だったようなので演奏も最高、モード全開で吹きまくっています。他の作品に比べ独特な"息苦しさ"(笑)の様なものも無く、実は隠れた名盤では無いかと思っています。

特に1,2曲目の"Out of this world"soul eyes"が哀愁があって好きです。
author:右山裕介, category:John Coltrane, 04:24
-, -, pookmark
Live At The Village Vanguard
Live at the Village Vanguard: The Master Takes
Live at the Village Vanguard: The Master Takes

エルビン・ジョーンズ、マッコイ・タイナー、レジー・ワークマン、エリック・ドルフィー等による1961年の数々の名演を残したビレッジバンガードでのライブ録音

まず1曲目の"Spiritual"これを"演歌"に聞こえてしまうのは私だけだろうか?(笑)多分これをバックに藤圭子が歌ったとしても違和感を感じないだろう。世界中の音階を研究し東洋音階にも造詣が深かったと言われるが、日本人がコルトレーンを好む理由はこの辺りにもあるのかなと思ってしまう。

2曲目の"Softly in a morning sunrise"これはもちろん有名なスタンダード曲でマイナーのテーマからメジャーのサビに変わる劇的な展開が、この曲がコルレーンの為にあるのかと思えるぐらいコルトレーンのモードプレイに良くマッチしている。

3曲目"Chasin'the trane"のプレイも素晴らしく、4曲目"India"ではジミー・ギャリソンを加えておなじみの2ベースのサウンドを聞かせてくれる。またオリジナル盤には無かった5曲目はおなじみ"Impressions"で最後を締める

絶頂期のコルトレーンのライブ盤で、現在コンプリート盤も存在しており選曲も興味深いので、機会があればぜひ聞いてみたいと思っている。
author:右山裕介, category:John Coltrane, 12:51
-, -, pookmark